瑕疵担保責任と判例-眺望・日照(2)



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判例で学ぶ!瑕疵担保責任

眺望・日照(事例2)

完成前のマンションについて、売主業者及び販売代理業者に眺望についての情報提供義務違反があるとして、
債務不履行責任及び不法行為責任が認められた事例(大阪高判平成11.9.17 判タ1051-286)

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事案の概要

 売主業者は、宅地建物取引業者を販売代理として、買主に対してマンションの603号室を売却し、買主は手付金を支払った。
 本件は未完成マンションとして販売されたものであるが、パンフレットには本件居室から二条城が眺望・景観が広がるとの記載があり、買主は、購入にあたり、販売代理業者に対して何度も視界を遮るものがないかどうかを質問しており、それに対しては、視界を遮るものはないとの回答を得ていた。
 ところが、実際にマンションが完成してみると、本件居室の隣接ビルのクーリングタワーが眺望を阻害していたため、紛争となった。
 買主は本件売買契約を解除したが、売主側が手付金を返還せず、また、約定の違約金を支払わなかった。そこで、買主は、売主らには債務不履行・不法行為責任があるとして訴えを振起した。
 これに対し、第一審は、買主の請求を棄却した。
高裁は、完成前のマンションについて、売主らには、眺望についての情報提供義務違反があるとして、買主の請求の一部を認める判断を示した。

売主らの情報提供義務についての判断骨子

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※買主は本件居室を購入するにあたり、代理業者の担当者に対して、視界を遮るものがないかどうかについて、何度も質問しており、買主が二条城への眺望を重視し、本件居室を購入する動機としていることを認識し得たのであるから、代理業者は、未完成建物を販売する者として、本件居室のバルコニー、窓等からの視界についてその視界を遮るものがあるか、ないかについて調査、確認して正確な情報を提供すべき義務があったといわざるを得ない。
※買主としては、当初から隣接ビルの屋上にクーリングタワーが存在し、それが本件居室の洋室の西側窓のほぼ正面の位置に見えるとの説明を受けるか、少なくともその可能性について告知説明があれば、その購入をしなかった。
※そうすると、買主は本件売買契約を解除でき、売主業者は既に受領した手付金の返還に応じる義務がある。
※さらに、代理業者は、買主を誤信させて、損害を与えたものであるから、損害を賠償する義務があり、売主業者も販売を委任した代理業者と同様の損害賠償責任があるというべきである。



判例のポイント

●本件では、売主の責任が問題になっているが、瑕疵担保責任ではなく、情報提供義務違反があったかどうかが問題となっている点で、他の判例とは異なっている。本件では、買主と代理業者との間の棄約締結に至る具体的な交渉経緯の中から、眺望に関する情報提供義務が売主側に認められ、その義務違反が認定されている。